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特集

【連載】ミャンマー投資の今(上)外資誘致が積極化

【2019年2月8日付 総合4面 日刊工業新聞電子版

中小向け、貸し工場設立進む

中国や日本企業が入居するゴールデンバーグの工業団地

経済成長が続くミャンマーで外資誘致が積極化している。2015年をピークに外国投資認可額が減少する中、アウン・サン・スーチー国家顧問は近年の規制緩和策などをアピールし、投資を呼び込む。一方、進出を検討する企業にとって、電力不足など依然として壁は多い。長期的な経済成長を見据え、中小企業向け貸し工場の拡張や官民協働のインフラ整備計画など、進出環境を整える動きを追った。(3回連載)

ミャンマーの工業団地で中小向け貸し工場の設置が進んでいる。ゴールデンバーグ(東京都中央区)は、商都ヤンゴン北方バゴーで、電力や水などのインフラを完備した工場建屋を提供する。企業が自己資金や借り入れで工場を新設するより、初期投資を抑えて進出できる、貸し工場で中小進出を後押しする。

同社が運営する工業団地では、樹脂成形など中国や日本企業5社が入居する。第1期の敷地面積は5万平方メートルで、賃貸工場がほぼ埋まっている状態。第2期も始動しており2万―3万平方メートル分の賃貸工場を19年10月に完成させ、今後も需要に応じて拡張する考えだ。

同社は中国で精密プラスチックなどを生産していたが、14年に「チャイナプラスワン」の観点から同団地を創設。金沢秀憲社長は、ミャンマー進出の理由として「中国で培った生産・品質管理ノウハウを生かせること、(他国と比べ)人件費でアドバンテージがあること」を挙げている。

一方で金沢社長はミャンマー進出の足かせとして現地調達率の低さを指摘する。電力不足がネックで裾野産業が育たない。こうした現状を踏まえ「インフラを完備する中小製造業のための工業団地があれば進出企業も増えるだろう」と話す。

ヤンゴンの南方にあるティラワ工業団地も、16年から貸し工場を始めた。現在3社の工場が稼働しており、新工場を建設中だ。同工業団地の開発・運営会社MJTDの清水禎彦社長は、「裾野を広げる一路になれば」とミャンマー産業の発展に期待をかける。

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