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コラム

【連載】新興国ウオッチ(4)ミャンマー 経済成長の潜在力に期待

【2018年08月23日付 金融面 日刊工業新聞電子版

2011年に軍政から民政への移管が行われ、16年には実質的な元首としてスー・チー氏が国家最高顧問に就任したミャンマーは、アジアのラスト・フロンティアと呼ばれていた。約50年にわたり世界経済から遠ざかっていたミャンマーが国際経済社会に復帰し、経済の開放や自由化が進むことを見込んだものである。

民政移管後、経済改革に取り組むミャンマーであるが新政権発足後は経済政策よりも民族和平を重視してきたと見る向きもある。民族和平は「21世紀のパンロン会議」を中心に進められており、直近では18年7月に同会議が開催された。ただし政府と少数民族武装組織との対話は一般的な原則の合意に留まる傾向にあり、民族和平の難しさを表している。

また、民族和平に加え、16年10月にミャンマー西部ラカイン州で国軍との衝突が発生し、大半が無国籍のロヒンギャ(イスラム系少数民族)が難民として隣国のバングラデシュに流出する事態となった。国際社会は広範な人権侵害が行われたとして、この問題の解決を強く求めている。

現状、これに伴う欧米の制裁は軍関係者に留まり、政府には適切な対応をとり経済に影響を生じさせないことが期待されている。

経済改革の中で注目を集めているのは新しい投資法と会社法である。新投資法は、16年10月に成立した。外国企業と自国企業とで異なる投資法が適用されていたが、全ての企業に同一の投資法が適用されることとなる。

また、17年12月に成立した新会社法を、18年8月より施行した。外国資本の出資比率35%までは国内企業と認められる。従来は1株でも外国資本が保有する場合には外国企業に分類され、不動産所有などで規制を受けていたものが改善される。

ミャンマーの人口は5000万人以上であり、平均年齢は20歳代後半である。7%程度の経済成長を続けており、内需の増加を期待し、海外から国内市場での製品の販売を目指した投資が進んでいる。17年度(17年4月―18年3月)の海外直接投資認可額は57億ドル、認可件数は222件となった。

全体の認可件数や日本の認可投資額は過去最高となり、多くの外国企業がミャンマーに引き続き関心を示していることが確認できる。また、複数の日本企業が開発に関与するティラワ経済特区は、日本企業を中心に多くの外国企業の進出を受け入れ順調に発展している。

ミャンマーの発展はラスト・フロンティアとして期待した水準には達していないとの声もあるものの、引き続き成長のポテンシャルは大きく投資家からの期待は高い。20年に総選挙を控え、引き続き高い経済成長を持続しその成果を国民が十分に実感できるか、今後も目が離せない。

新興国ウオッチでは国際協力銀行のエコノミストが新興国の最新情勢を紹介する。

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