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特集

サカナを創る 「第三の波」陸上養殖 第1部(上)“持続可能な水産業”へ

【2026年2月18日付 日刊工業新聞 総合1面】

サカナを創る 「第三の波」陸上養殖 第1部(上)“持続可能な水産業”へ

高コスト脱却に挑む

水産資源減少や国際的な漁業規制を背景に漁業が転換点を迎えている。サケやタイなど主要魚種で“第一の波”である天然物から安定価格で提供できる“第二の波”の養殖物へのシフトが加速。さらに内陸部での生産が可能な“第三の波”として「陸上養殖」が脚光を浴びる。ただ、事業化のハードルは高い。最大のネックは厳密な水温管理に要するランニングコストと巨額の初期投資だ。採算性の確保が難しい中、いかに高コスト体質を脱却し、商業ベースに乗せられるか。持続可能な水産業の確立へ向け、事業者の挑戦が続く。

1年で生育、収益化早まる

「為替の円安傾向で、(輸入の)ノルウェーサーモンやチリサーモンとの価格差が縮まっている」。NTT東日本ビジネス開発本部で陸上養殖を手がける、越智鉄美営業戦略推進担当課長は最近の手応えをこう話す。同社は2023年にベニザケの完全循環式陸上養殖に成功。水温の適正管理や酸素濃度、塩分の管理、水素イオン指数(pH)やアンモニア態窒素の調整などにより、天然物に比べて生育期間が1年強と、成長速度を2倍に早めることに成功した。

陸上養殖は水を完全循環して使う。このため、プラントの初期投資もランニングコストもかさむのが最大の課題だ。「(従来は)出荷までに3―5年もかかる。その間、事業者の収入はゼロになり、資金は持ち出しになる」(越智課長)と説明する。生育期間を約1年に短縮することに成功した結果、漁業者は毎年収入が入るようになり、追加投資や規模拡大が容易になった。

三井物産子会社の

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