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特集

【産業立地特集】設備投資 国内回帰の傾向

【2018年9月11日付 日刊工業新聞 29面 広告特集】

事業継続計画(BCP)への対応、人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)などの普及などを背景に、企業の国内への設備投資意向が高まっている。また、高速道路などの新たなインフラ整備の進展で、立地条件の良い地域の産業用地には、分譲残が大きく減少しつつある。一方で、これに対応した自治体の動きは遅く、現在の景況感が続く限りは、しばらくは用地の不足感が続くものと予想される。


高まる設備投資

新規立地計画を有する企業割合の推移

日本立地センターでは、毎年9月頃に製造業1万5000社、物流業5000社に対して、今後の設備投資の意向を調査している。これによると、新規立地計画を有する企業の割合は、製造業では、2017年は18・8%と、バブル崩壊後一番高い数値であった16年の14・4%を超えた。12年から調査を始めた物流業は、製造業よりも設備投資意向が高く、17年は23・3%とこちらも統計を取り始めてから一番高い数値となっている。

また、将来の国内外の事業活動の比重をみると、震災直後の12年で「国内事業を強化する」という回答は30%程度、「海外事業を強化する」企業は7%程度であったものが、17年には、「国内事業を強化する」という回答は、60・9%程度と2倍になり、「海外事業を強化する」という回答は3・4%程度にまで減少している。

さらに、「国内事業を縮小」「海外事業を強化する」という回答は大幅に減っており、設備投資は国内回帰の傾向となっている。

深刻な労働力不足

労働者の過不足

企業の国内における生産活動の課題には、震災直後は「国内市場の縮小」「取引先の海外進出」「エネルギー不足」などが多くあげられていたが、現在は、圧倒的に「人材不足」が多くなっている。

厚生労働省の労働経済動向調査でも、09年では、人が足りている企業が不足している企業よりも多かったが、その後、11年から人が不足している企業の方が多くなり、18年にはその差が49ポイントになっている。こうした人材不足もあいまって、AI、IoTなどを含む機械設備への一層の投資を志向させている。

用地の不足感と新たな整備

企業の積極的な設備投資を受けて、立地環境が良い地域では、企業立地の受け皿としての産業用地が不足してきている。また、これまで立地が進まなかった用地も、高速道路などの新たなインフラ整備による立地環境の改善、より条件がいい地域の用地不足などから、企業立地が進展してきている。

日本立地センターが発行している産業用地ガイドでも、12年度版には、全国で901の団地が掲載され、1万5014ヘクタールの用地が分譲されていたが、17年度版では、648の団地、1万1670ヘクタールと大きく減少しており、どの都道府県でも、産業用地の不足感が出てきている状況である。

企業の設備投資意向の高い地域には、用地が不足し、条件不利地には、分譲中の用地がまだ残されているというミスマッチが起きている。産業用地を開発するには、開発計画の策定、各種法制の調整、用地確保、造成と数年を要するため、用地の不足感はしばらくの間解消されないことが予想される。また、以前のように都道府県が主体となって用地開発をすることは極めてまれで、その結果、市町村が主体となって、あるいは民間事業者を活用した開発を模索した動きが見られるようになっている。どの自治体にとっても、企業誘致は、産業振興施策の中心となっているが、販売する商品がなくなるという事態に陥っているケースも見られる。

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