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清水建、木質バイオマス発電参入 長野に2000kW級

【2018年11月7日付 建設・エネルギー・生活面 日刊工業新聞電子版

木質バイオマス発電施設とチップ工場(イメージ)

清水建設は長野県の東信地区で木質バイオマス発電事業に乗り出す。同県東御市の羽毛山工業団地に出力2000キロワット級の木質バイオマス発電所を建設する。投資額は約30億円。2020年5月に稼働し、固定価格買い取り制度(FIT)により20年間、中部電力に売電する。燃料の切削チップは東信地区で発生する間伐材など未利用材やマツクイムシによる被害材を有効利用し、地域に特化した循環型事業モデルを追求する。

清水建設の100%子会社、信州ウッドパワー(長野県東御市)が事業を担当する。土地売買契約を経て11月末にも建設に着手する。近く県内で森林保全や環境対策に積極的な長野トヨタ自動車(長野市)が出資し、共同で事業展開する。

施設は木材置き場以外に燃料の切削チップ工場と貯蔵所、ボイラ・蒸気タービン方式の発電施設などから成る。チップを発電ボイラに投入する作業を自動化し、24時間稼働により深夜や休日の作業を無人化する。

清水建設が三菱日立パワーシステムズインダストリー(横浜市中区)製プラント、日立プラントメカニクス(山口県下松市)のクレーン、富士鋼業(静岡県藤枝市)のチッパーを組み合わせて実現する。年間で保守期間を除き340―345日稼働し、年間売上高は約5億円を計画する。

燃料の切削チップは地元のカラマツ、アカマツ、杉などで製材に使えない低質材を年約3万トン調達する。間伐材やマツクイムシによる被害材の処理・資源化といった課題を解決し、森林保全育成に役立てる。チップ材購入で地元林業者に年1億―1億5000万円を支払い、木材需要の創出につなげる。雇用も約10人を見込む。

清水建設は地方創生を促し林業関係者とウイン―ウインの関係を築ける事業と認識し、持続可能な開発目標(SDGs)やESG(環境・社会・企業統治)投資の一環で事業を推進する。今後、ノウハウを蓄積し、似た地形や条件の場所で、同様の事業の展開を目指す。

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