半導体・スタートアップなど
世界の分断が進む中で、グローバルサウス(南半球を中心とした途上国)の盟主インドが国際社会で頭角を現している。日本企業が最も重視する投資先は中国だったが、地政学リスクの顕在化でインドへの関心が高まっており、日本の産業界でも存在感が増す。経済産業省は半導体分野で協力するなど産業での連携を強めている。
「2023年に中国を抜いて世界一の人口大国になる見込みだ。インドの成長と日本の経済成長、日本企業によるインドの経済成長への貢献を併せて互恵的な関係を進化させたい」。西村康稔経産相は7月の訪印を前にこう述べた。現地では「日印産業共創イニシアティブ」を発表。①イノベーションによる未来産業の創出②既存産業の進化③新市場への展開を柱に掲げた。
未来産業の創出では、半導体サプライチェーン(供給網)強靱(きょうじん)化でパートナーシップを締結した。両国が半導体分野で協力するのは初めて。モディ政権が主導する製造業振興策「メーク・イン・インディア」の一環でエレクトロニクスを重要産業に位置付けるインドは、その心臓部となる半導体の国産化を図っている。インドが強みとするデジタル人材の層の厚さや、日本が得意とする半導体素材や製造装置で連携を模索する。インドが半導体生産国になれば日本の経済安全保障強化につながる。
両国はスタートアップでも協力を深める。経産省が展開する起業家海外派遣プログラムにインドを追加。世界屈指のユニコーン輩出国であるインドで…