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コラム

【連載】アジア人材活用術(13)タイ 上座部仏教とマネジメント

【2018年7月6日付 総合4面 日刊工業新聞電子版

人々が仏壇に祈りをささげるのはタイでは見慣れた光景だ

読者の皆さまもご存じの通り、タイは仏教国だ。従って「イスラム教の国やヒンズー教の国と違って日本と同じ考え方で大丈夫」と思いがちであるがそんな事はない。

実は日本の仏教はインドから中国を経由して伝わった大乗仏教で、タイの仏教はスリランカやカンボジアなどと同じ上座部仏教(小乗仏教)だ。日本ではお葬式やお墓など比較的「死」にまつわる部分で重んじられている仏教であるが、タイでは日常に密接に絡んでいる。例えば、男女のデートはお寺が選択肢に入り、年に一度は会社にお坊さんを呼んでお経を唱えてもらい、社運を高める行事も行う。

また、オフィスビルでも1階に仏壇があり、通りかかる人は手を合わせる。極めつきとして、成人男性は一生に一度短期の出家をする習慣があり、会社では突然「出家休暇」を申請する社員も日常茶飯事だ。そのような時、経営者として「営業成績が振るわないのに、出家休暇を取るとは何事だ!」などの考えを持ってはいけない。慈悲の心を持ち、全てほほ笑み、受け入れなければ社員はついて来ない。

慈悲の心が養われていなかった頃の私は、このような事象が発生する度に…

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