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特集

【連載】沖縄でつくる 製造業の選択 特別編(下)半導体装置など、県外から特区へ

【2018年8月30日付 中小企業・地域経済面 日刊工業新聞電子版

台湾の機器メーカー・和椿科技で製造品を視察する沖縄工連などの関係者ら

「近い台湾」狙い立地活発

沖縄本島を中心に同心円を描いた地図がある。地銀が制作したもので東・東南アジア諸国と沖縄は近い。沖縄では視線を海外へ向ける地場企業が増えた。可能性を探る段階も多いが企業の意識は変わった。特に台湾は地理・文化とも最も近い海外だ。

沖縄県工業連合会(那覇市)は台湾とモノづくりで連携を深める。南西地域産業活性化センター(NIAC、那覇市)とともに2016年、台湾の経済団体と連携協定を結んだ。8月には台北市で商談会を実施。半導体基板の加工装置などを製造する和椿科技(オーロテック、台湾桃園市)も視察した。

石嶺伝一郎NIAC会長は商談会について「これまでなかった製造業も沖縄に増えており、工夫しながら回を重ねたい」とする。

台湾との多面的な近さは、既存のモノづくり企業の海外進出に生かせる。企業間の取引拡大だけでなく、製品開発など世界展開で先を行く台湾の知見を取り込む必要がある。

海外進出のヒントは“内なる外”である県外からの立地企業も持つ。沖縄には半導体製造装置、電子デバイスや精密部品の国内メーカー数社が進出。地理や優遇制度を生かし製品を内外に出荷する。

県中部の特区地域に立地する46社の17年海外搬出額合計は48億円で前年の28億円から大幅に伸びた。輸出においては日本製の強みも大きく働いている。

製造品は地場企業と異なる面はあるが、グローバル展開の中で特区への進出を決めた中堅・中小も多い。台湾に取引先や関連会社を持つ企業もある。

台湾との物流面では、ANAカーゴ(東京都港区)が10月末から沖縄―台北線を運休するなど逆風もある。だが現在の県内製造業の経営環境は追い風が勝っている。産業界は連携の手を緩めてはいけない。

 

【連載】沖縄でつくる 製造業の選択

沖縄県の経済特区への企業誘致が好調だ。県中部の「国際物流拠点産業集積地域うるま・沖縄地区」の立地企業数は2018年3月末で67社となり、前年から9社増え過去最高の企業数を記録した。立地の形態にも変化が見られる。これまでは賃貸工場への入居がメーンだったが、分譲地への進出も多くなっており、分譲地不足の懸念すら出始めた。

沖縄は製造業の“不毛の地”という不名誉な呼ばれ方もあった。事実、県内総生産に占める製造業の割合は低下傾向で、この10年間はおおむね4%台で推移する。好調な観光がけん引し、伸びを見せる建設業やサービス業とは対照的だ。だが、沖縄でモノづくりをする企業は確実にいる。なぜ「沖縄でつくる」のか。立地企業から答えを探る。

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