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特集

【地域特集】南東京エリア特集(2)飛翔する「五反田バレー」

【2019年1月31日付 日刊工業新聞 32面 広告特集】

五反田バレー発足

東京都南部に位置する品川区五反田。交通の利便性が良く、家賃が割安なこともあり、高度な技術を持つベンチャー企業や創業間もないスタートアップ企業が集まりつつある。この地の利を生かして産業集積としての魅力を一段と増すために、同地域の起業家が2018年夏に一般社団法人五反田バレー(品川区東五反田)を設立した。品川区も行政として惜しみない支援を施す考え。官民一体となって“五反田バレー”構想を進め、会員企業の成長にとどまらず、社会問題解決にも挑んでいく。

スタートアップ企業の集積地

ブランドイメージ確立目指す

東京都品川区五反田のスタートアップ企業6社が2018年7月に立ち上げた一般社団法人「五反田バレー」の活動が本格化する。スタートアップ企業の集積地としての、同エリアのブランドイメージ確立を目指す。昨年は会員企業間でのネットワーク形成や、エンジニア、中学生向けイベントを開催し、五反田バレーの認知度向上を図った。19年はエンジニアや新卒向けの採用イベントを企画している。協力協定を締結した品川区は、助成金の新設や五反田バレーをハブとしたネットワーク作りで支援する。

昨年12月末、五反田バレーはfreee(東京都品川区)本社で年末報告会を開き、これまでの活動実績を振り返った。

10月にオープンイノベーション施設「DEJIMA」(同区)で開いた「エンジニアmeetup」にはデンソーなどで技術顧問を務める及川卓也氏が登壇。五反田のスタートアップ企業や大企業のエンジニアが“エンジニア人生”や開発の実情などについて議論を交わした。12月にも「エンジニアサミット」を開催し、サービス開発の失敗談などを語り合った。

日野学園(同)と未来協育推進機構が12月に実施したキャリア教育事業「ドリームジョブツアー」に会員企業が参加。中学2―3年生に向けて仕事内容や働くことの意義などを話し地元企業への理解を深めてもらった。

採用イベントなど地域の活動本格化 連携・交流で人材呼び込む

五反田バレー年末報告会

19年に開催予定の企画についても発表した。2月末には若手エンジニアの採用を狙う「はしご酒ウィーク」を実施する。ビズリーチ(東京都渋谷区)が運営する20代の転職サイト「キャリトレ」が協力し5日間連続でマッチングイベントを開催する予定。時期は未定だが100人程度の新卒を集めての採用イベントも計画している。ほかにも、各社社員の健康促進やコミュニケーション強化を目的とした運動会や、エンジニア向けの勉強会なども実施を検討している。

また、今回五反田バレーにはインバウンドテクノロジー、ノオト、グリーンフラグなど新規に14社の企業が参加、会員企業数は計20社となった。

代表理事を務めるマツリカの黒佐英司代表取締役Co―CEOは「設立したことで、五反田という場所のイメージを持ってもらえた。人が集まりやすくなった」ことを18年の成果とした。エンジニアの採用について「個々の会社だとまず興味を持ってもらうのが大変だ。採用で連携し、企業にとって潜在的な人材を呼び込みたい」と話した。

品川区は、五反田バレーの認知度向上やネットワーク創出を支援する連携協定を締結した。これまで同区は、区内の情報通信業の交流・連携を促進するシンポジウム「品川情報クラスターフェア」やビジネスマッチングイベント「SHINAGAWAオープンイノベーションマッチング」を実施してきた。

19年度からは、五反田バレーへの支援強化を図るための予算を組み、より具体的なメニューとしていく。

エンジニア不足への対策としては、五反田バレーと連携したイベントを年2回開催するほか、エンジニア採用にかかる費用の負担を軽減するため助成金を新設する予定。ビジネスマッチング会や展示会共同出店では販路開拓を支援する。

地域を巻き込んだ人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)の実証実験の実施も検討しており、プロジェクトを募集して採択されたものに助成を行う。

また、区内の商店街や人事コミュニティーなど、さまざまなネットワークとの橋渡しも行う。品川区商業・ものづくり課の山崎修二課長は「五反田バレーをハブとして区内のネットワーク同士をつなげられれば」と話している。

品川区の産業施策

創業支援・販路開拓などで協力

品川産業支援交流施設(SHIP)の共有スペース

IT企業や創業間もないスタートアップ企業が手を取り合って進めている“五反田バレー”構想。品川区は2018年に、一般社団法人五反田バレー(東京・東五反田)と協定を結び、創業支援やネットワーク作りに協力している。

品川区は伝統的に町工場と言われる中小製造業が多かったが、産業構造が変わるに伴い昨今では情報通信業の起業が多い。行政としても雇用創出や税収増を期待して各種の支援策を実施している。

創業支援策として(1)金銭的な支援(2)創業支援センターの設置(活動拠点の提供)(3)経営診断やセミナー開催などソフト面の支援―の3本柱を掲げている。

金銭面では、創業関連保証や法人登記にかかる登録免許税の優遇措置のほか、創業支援資金を低利で受けられる。また、活動拠点として、西大井と天王洲、広町、武蔵小山、北品川の5カ所に創業支援センターを設置。北品川の品川産業支援交流施設(SHIP)は事務所の貸し出しのほか、共有スペースに法人登記もできる。

人材確保や販路開拓に関する支援策も充実。モンゴル高等専門学校からの短期インターンシップ(就業体験)で区内企業との橋渡しを進めるほか、社会貢献製品支援事業として認定した製品に実証実験の場を与える試みも実施している。

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