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特集

【地域特集】福井県特集-新たな次代へギアアップ!!設備投資や新材料開発相次ぐ

【2018年9月20日付 日刊工業新聞 30面  広告特集】

福井県で最大の工業団地「テクノポート福井」

福井県の景況は総じて明るい。経済をけん引する製造業は、福井に立地する自動車部品や電子部品の大手が活発な生産を続け、強い波及がある。繊維、プラスチック、化学も堅調だ。繁忙でも次の時代を見据えた取り組みを緩めない冷静さも地域企業にはある。北陸新幹線が延伸する2023年春も着実に近づき、さまざまな取り組みがギアアップする。

投資意欲読みTPF分譲拡大 自動車向けの生産が活発化

15日にオープンした「福井県年縞博物館」(福井県若狭町)。湖底から採取した長さ45m、約7万年分の標本がある

福井県の福井市―坂井市にまたがる日本海側の大規模工業団地がテクノポート福井(TPF)。内陸型の化学メーカーが多く立地する。

ここで自動車関連の新たな投資が相次ぐ。約85万平方メートルの敷地に福井製造所を構えるUACJは20年稼働予定で、自動車のボンネット部分などに使うアルミニウム製パネル材の生産ラインを新設中だ。能力は年10万トン、設備投資額は約160億円。同敷地は余地が広く、今後の追加投資が見込まれる。

田中化学研究所は50億円を投じて、リチウムイオン電池材料の正極材の生産能力を増強する。19年7月稼働予定で、正極材の月産能力は現状比約1200トン上積みの約3030トンになる。電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)などが伸びて、同社にも引き合いが旺盛だ。

これら製造業の投資意欲を読み、福井県はTPFの分譲余地を増やすことを決定。港湾機能としての整備予定を変更し、37万8000平方メートルを新分譲エリアに充てる。現在測量中の第1期は15万平方メートルで、その半分程度を19年度に分譲開始予定。多様なニーズを想定し区画割りはしない方針。「1、2年かけて売っていく」(福井県産業労働部公営企業経営課土木施設整備グループ)と手応えを見せる。

TPF立地企業では、セーレンが福井県工業技術センターとともに、DICと組んで、自動車向けの炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の研究開発を始めた。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を得て、DICの新技術の熱硬化樹脂を使って、多数の繊維一本一本に均一に数分レベルの速さで樹脂を含浸させ、高い量産性、品質信頼性の複合材料の実用化を目指す。CFRPでは未踏の領域。TPFがホットなエリアとなりそうだ。

日本原子力研究開発機構は6月に廃炉技術実証拠点を敦賀市で運用開始。この円筒形の水槽で放射線汚染部材の切断などを訓練する(深さは約10メートル)

このほか福井県越前市に立地する大手メーカーの動きも活発だ。福井村田製作所が290億円を投じ、積層セラミックコンデンサーを生産する新棟を建設し、19年12月に完成予定。スマートフォンや、先進運転支援システム(ADAS)、EVの需要拡大に対応する。アイシン・エィ・ダブリュ工業(越前市)は新たに県南部の若狭町に200億円弱で新工場を構えて自動車の自動変速機(AT)部品の増産に動いている。

また、原子力発電所の立地地域としても大きな節目が年内にある。関西電力が福井県内に立地する原子力発電所の使用済み燃料の中間貯蔵場所の県外立地の候補地について、「18年に具体的に示す」と公約したことだ。17年11月の公約から10カ月。慎重に手の内は伏せられたままだが、着実にタイムリミットが近づく。

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