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特集

【地域特集】埼玉県特集(2)“埼玉流”「エントリー&オーダーメード」で産業団地整備

【2018年5月31日付 日刊工業新聞 第2部「埼玉県特集」 7面】

270件のニーズに応える産業立地

埼玉県は六つの新幹線が走り、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)延伸などで交通インフラが充実し、企業誘致が活気づいている。県が誘致を本格化した2005年1月から18年3月末までの立地件数は983件。19年3月までに累計1000件を目標に掲げる。目下、約270件、約470ヘクタールの進出ニーズがあるとされ、新たな整備案件もある。企業の要望に迅速できめ細かく対応するため、県企業局は“埼玉流”の「エントリー&オーダーメード方式」の整備を開始。大栄不動産(東京都中央区)など民間も、開発プロジェクトを着実に進めている。

 

県企業局、スピーディーな開発
“埼玉流”「エントリー&オーダーメード」で産業団地整備

埼玉県公営企業管理者 立川 吉朗 氏

県企業局 継続整備地区・新規整備地区

累計1千件目標

埼玉県企業局は圏央道沿いなどで六つの産業団地を整備し、これまでにYKKAP、卸売業のPALTACなど41社が立地した。推計の雇用は約6000人、経済効果は3760億円と弾く。

2018年度の新規造成用地は(1)松伏・田島地区(松伏町)(2)川越増形地区(川越市)(3)行田富士見工業団地拡張地区(行田市)(4)嵐山花見台工業団地拡張地区(嵐山町)―の4カ所だ。

松伏・田島地区は県東部に位置し、市街地に近く、職住近接が特徴。事業面積は約18・3ヘクタール。川越増形地区は圏央道と関越自動車道が近く、「地域未来投資促進法」に基づく基本計画が国の同意を得たエリア内にある。事業面積は約16・8ヘクタール。

いずれもエントリー&オーダーメード方式で整備するため、進出を希望する企業との間で用地取得や実施設計、開発などを協議しながら進められる。企業局トップである県公営企業管理者の立川吉朗氏は「従来より2年程度早く操業できるため、早期操業を希望する企業ニーズに応えることができる」と、“スピード感のある開発”を強調する。

行田富士見地区(事業面積約75ヘクタール)と嵐山花見台地区(約52ヘクタール)はいずれも、現在各45社程度立地する従来の工業団地を約6ヘクタール拡張する。道路などの既存インフラを活用できるコンパクトな造成案件となる。

5ヘクタールでも整備

県企業局は圏央道以北の企業誘致を強化するため、事業面積10ヘクタール以上の用地を整備する従来方針を転換し、5ヘクタール程度以上で対応することにした。「大きさにこだわらず幅広く適地を選び、期待に応えたい。さらに既存インフラを活用できれば、北関東エリアの産業用地と比べて優位にたてる」(立川公営企業管理者)とし、1平方メートル当たり2万円台での分譲も検討している。

継続事業としては草加柿木地区産業団地(草加市)、加須インターチェンジ東地区産業団地(加須市)、寄居スマートIC美里産業団地(美里町)がある。草加柿木地区には初めてエントリー&オーダーメード方式を適用。食品系10社がエントリーし、18年度に造成に着手。20年度の入居を目指している。

県内には産業団地の整備に意欲と熱意が強い自治体があり、地元と進出企業の期待に応えられるよう「さらにフレキシブルな対応を進めていきたい」(立川公営企業管理者)としている。

埼玉県の工業団地一覧

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