経済産業省・中小企業庁が2019年春にも改訂を目指す小規模企業振興基本計画の論点が明らかになった。中小企業の約9割を占める小規模事業者に対する施策を強化するため、従来の個社支援から、大手企業傘下の小規模企業施策や地域経済の活性化を通じた“面的”支援を重視した施策への政策転換を目指す。自動車産業をはじめとする製造業のサプライチェーンの維持など多様な地域課題を検討。11月に取りまとめ、閣議決定を経て19年1月に召集予定の通常国会に報告する。
小規模事業者とは、中小企業基本法の定義では製造業その他で従業員20人以下、商業・サービス業で同5人以下。今回の小規模企業振興基本計画は、17日に開く中小企業政策審議会小規模企業基本政策小委員会で議論をスタートする。
小規模事業者に対する個社支援のみならず、面的支援に向けて「サプライチェーン傘下の事業者対策」「IT活用」「地域ブランド」「自治体や商工会など支援機関の連携」などの主要テーマで議論する。
今回、委員会のメンバーにマツダやSUBARU(スバル)、日立アプライアンスの役員を迎え入れる。大手企業の下に要素技術を持つ中小企業・小規模事業者が多階層を形成し、日本の製造業を下支えしつつモノづくりの付加価値を生み出している点に着目。
さらに大手製造業のサプライチェーンを維持することは業界全体の問題であるばかりか、産業集積地にとっても重要課題であるとの認識に基づいて議論を進めていく。
このほか、委員長の寺岡寛中京大学経営学部教授をはじめ、小規模企業施策に詳しい学識者らを交え、これまで講じてきた施策の検証も行う。販路開拓などを後押しする持続化補助金や商工会議所・商工会の「伴走型」の支援のあり方、都道府県・市区町村の関与などを明確化し、地域一体での支援体制の確立を引き続き目指す。
小規模企業振興基本計画は、小規模企業振興基本法に定められた小規模企業の振興に必要な施策を実行するため14年に策定された。おおむね5年ごとに変更が加えられ、18年度は小規模事業者の施策の検討が中小企業政策の焦点となる。
少子高齢化やグローバル競争の激化、地域経済の低迷などの構造変化に対応するためには、地域社会をけん引する小規模企業の持続的な発展が不可欠となっている。