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商工中金、日系企業のフィリピン進出支援拡充 現地省庁・銀行と連携

【2018年08月09日付 モノづくり基盤・成長企業面 日刊工業新聞電子版

商工中金とフィリピン貿易産業省との業務協力覚書の締結式。ロドルフォ貿易産業次官(左)と商工中金の佐藤隆久常務執行役員

商工中金はフィリピン貿易産業省、リザール商業銀行(RCBC)との間で、日系企業の進出や投資を支援する業務について提携した。3日に投資関連情報の提供や現地金融ニーズのサポートで協力することで覚書を締結。商工中金が同国で覚書を交わすのは初めて。人口が1億人を突破し若く豊富な労働力を背景に日系企業のフィリピン進出も増加傾向にある。同国への進出や事業展開を後押しする体制を強化したことで、中小企業の工場新設や、営業体制づくりが一層進みそうだ。(山下絵梨)

覚書を締結

フィリピン貿易産業省はフィリピンにおける産業振興や貿易・投資分野を担う省庁。商工中金は日本で進出支援に応じてきたが、フィリピンに拠点がなく現地での支援機能の拡充が課題だった。今回覚書を結ぶことで、外国企業からフィリピンへの投資を取り込み産業振興を図りたい同省と、現地に進出する日系企業の支援を強化したい商工中金とで協力体制を一段と強固にする狙いが合致した。

今後は、取引先を主対象にした投資セミナーの開催や視察団の派遣などを実施。市場環境や規制動向などの情報を提供するほか現地パートナー企業も紹介してフィリピンでの事業を後押しする。

資金調達円滑に

RCBCはフィリピンに約500の支店網を築き、約1兆1404億円の総資産を持つフィリピン10位の民間銀行。日本語対応で金融サービスを行うジャパンデスクを本店に設置するなど積極的に日系企業を支援している。

今回の提携で商工中金はRCBCへの「スタンドバイ・クレジット」制度の信用状発行や口座の開設といった事務手続きのサポートを行うことで現地法人の円滑な資金調達を支援。要望に応じてビジネスマッチングなども支援する。

フィリピンは近年の実質国内総生産(GDP)成長率が6%後半で推移し、東南アジアで高水準の成長率を維持している。大手自動車・電機メーカーなど、グローバル展開を進める日系メーカーの東南アジアにおける重要な戦略拠点の一つになっている。これに伴い中小部品メーカーの進出も旺盛で、商工中金の取引先ではここ5年で1・5倍のペースで増え続けているという。

内需獲得へ

現在は日本も含め多くの国に部品や完成品を供給する重要な役割を果たしているが、市場規模拡大を見据え、「これからはフィリピンの内需需要の獲得に向けた中小企業の進出増が予想される」(白木健一商工中金国際部副参事役)という。

進出支援の機能拡充で、白木副参事役は「情報面と金融面で全面的にバックアップできる体制が整った」とし、成長余力の大きいフィリピンでの提携強化に期待を寄せている。

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