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コラム

【連載】グローバルの眼/ミャンマーでクーデター

【2021年2月25日付 国際面 日刊工業新聞電子版

「造反」恐れる国軍の暴走

民主主義がようやく定着し始めていたはずのミャンマーで1日、クーデターが発生した。立法、行政、司法の全権をミン・アウン・フライン国軍総司令官が掌握し、アウン・サン・スー・チー国家顧問、ウイン・ミン大統領と与党NLD(国民民主連盟)幹部多数を拘束した。1990年のミャンマー初の総選挙でNLDは80%の議席を獲得する圧倒的勝利だったが、その結果を握りつぶした国軍の体質は、それから30年が過ぎた今も全く変わっていない。

今回のクーデターの理由について国軍は、総選挙での選挙人名簿に大規模な不正があったことをあげている。国軍総司令官は、「国軍こそが、憲法、民主主義の擁護者」として、クーデターを正当化しようとしている。国軍はデモ隊に銃を向けており、欧米や国連などからの警告も無視している。一方、ミャンマー市民の不服従運動(CDM)は収まる気配はなく、経済に大きな打撃を与えている。22日には全国の商業施設、企業や工場のほとんどが臨時休業するゼネストが実施され、現地報道によれば全国で100万を超える過去最大規模のデモが実施された。今後の混乱拡大と長期化は必至。ミャンマーの投資環境は地に落ち、撤退企業も出そうだ。

2020年11月の総選挙でNLDは、15年の総選挙で得た390議席を上回る396議席(476の改選議席の83%)を獲得し圧勝。一方、…

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