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コラム

【連載】グローバルの眼/大筋合意に達した日英貿易協定

【2020年8月28日付 国際面 日刊工業新聞電子版

英・EUの将来関係に備え

「スティルトン(英国産ブルーチーズ)」の優遇関税枠を巡って今月初旬に合意が見送られた日本と英国間の貿易協議は、28日中にも大筋合意に達する見通しとなった。秋の臨時国会での承認と2021年1月1日の発効を目指す。交渉入りから約3カ月でのスピード決着は、日本の輸出企業や進出企業にとっても朗報だ。英国は1月末に欧州連合(EU)を離脱し、年末までの移行期間中にEUと新たな貿易協定の締結を目指している。その間、日本と英国の貿易は19年2月に発効した日EU経済連携協定(EPA)に基づく優遇関税が適用される。今回の合意で日英間の貿易には来年以降も優遇関税が適用されることになる。合意の内容は日EU・EPAを土台に、投資・サービス、電子商取引、競争政策の分野でさらに踏み込んだ。自動車関税の撤廃時期を日EU・EPAの26年から前倒しすることはできなかったが、自動車部品の関税即時撤廃対象を拡大することに成功した。

日本の英国向け輸出は自動車関連や機械類が上位を占める。英国は21年以降、貿易協定を結んでいない国からの自動車や農産品の輸入に高率の関税を賦課する。英国は既に韓国などと貿易協定を締結済みで、優遇関税が適用されない場合、日本企業は競争上不利な立場に置かれる。他方、日本の英国からの輸入品目は医薬品、自動車、原動機などが上位を占める。日本はこれらの品目の多くに関税を賦課していない。日英の貿易協定は日本側に関税上のメリットが多い。それでも英国が日本との合意を急いだのは、日本の進出企業を英国につなぎとめる目的とともに、離脱後初の大型交渉の成功事例として内外にアピールする狙いがあったのだろう。

英国とEUの将来関係協議は、…

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