中間層の不満解消カギ
南米チリの首都サンティアゴで今月予定されていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が、同国内の政治混乱から開催中止となった。その背景を探ると、新自由主義の下で発展を遂げた新興国に共通する経済格差の拡大という問題が見えてくる。
チリは1990年の民政移管後、今日まで基本的に政情は安定。経済面では他の中南米諸国に先駆けて民間主導の開放経済路線を推進し持続的成長を実現、「中南米の優等生」と評される。2010年には経済協力開発機構(OECD)の仲間入りを果たすなど国際社会での評価は高い。APECに関しても、04年に首脳会議を開催しており、今回も開催国としての役割が期待されていただけに、開催中止は各国に大きな驚きと衝撃を与えた。
チリのピニェラ大統領は開催中止の理由について、…