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コラム

【連載】グローバルの眼/ワクチン接種遅れ目立つEU

【2021年3月19日付 国際面 日刊工業新聞電子版

景気回復、後ずれ懸念

欧州では2020年末に新型コロナウイルスのワクチン接種が開始された。人口当たりのワクチン接種率は、3月中旬の時点で英国が4割近くと先行し、欧州連合(EU)は加盟27カ国の平均で1割程度と遅れが目立つ。安定供給と調達コストの引き下げを目指し、EUはワクチンの共同調達を行っている。だが、独自調達を選択した英国と比べて契約や認可手続きが遅れたうえ、域内での生産増強に時間が掛かっている。供給不足に対処するため、域内で製造されたワクチンの輸出管理を導入し、イタリアが豪州向けワクチンの出荷を差し止めた。共同調達に参加する加盟国は独自契約を交わすことも認められるが、ハンガリーがEUの認可していない中国製ワクチンの接種を開始するなど、加盟国間の足並みの乱れも露呈している。

年末年始にかけて変異種の猛威が襲った英国では、ロックダウン(都市封鎖)の再開とワクチン接種の進捗(しんちょく)を受け、感染がピークアウト傾向にある。入院患者や集中治療室の利用率も1月中旬のピーク時から半減している。8日に約2カ月振りに学校が再開され、感染動向や医療資源の評価に基づき、段階的な行動制限の解除を予定している。順調に進めば、4月初旬に全ての商店が営業を再開し、5月中旬に飲食店の屋内営業が認められ、6月中旬には全ての行動制限が解除される予定だ。7月末までに全成人が1回目のワクチン接種を終えることを目指し、秋には集団免疫の獲得が視野に入る。

ワクチン接種の遅れが目立つEUも、…

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