Powered by 日刊工業新聞

コラム

【連載】グローバルの眼/英EU間通関で混乱懸念

【2020年12月18日付 国際面 日刊工業新聞電子版

年末の移行期間終了を目前に控え、英国と欧州連合(EU)間の将来関係協議の合意に向けた努力が続けられている。産業補助金などのEUルールの受け入れや英海域での漁獲割り当ての配分をめぐって、協議は難航している。このまま年内に合意できなければ、2021年以降、英EU間の貿易は世界貿易機関(WTO)が定める最低限のルールに基づいて行われる。英国とEUは相互に関税を課し、自由な貿易取引が阻害される。今後、滑り込みで合意に漕(こ)ぎ着けた場合も、21年以降、英国とEUを取り巻く経済関係に生じる変化に注意が必要となる。

自由貿易協定(FTA)を締結することで、両地域をまたいだ貿易取引には、原則としてこれまで同様に関税が掛からない。だが、英国はEUの単一市場の一員でなくなり、各種規制の準拠法がEU法から英国法に切り替わる。英国とEUの双方でビジネスを展開する日本企業は従来、両市場を一体のものと考えることができた。今後はEU市場と英国市場を別物として考える必要がある。例えば、事業者登録、化学品や医薬品の関連規制、自動車の型式認証、食品表示規制、環境規制などを、英国とEUの双方で取得しなければならない。適用ルールが異なるため、今後は両地域間で貿易を行う場合、原産地の証明、規制の適合検査、動植物検疫などの通関手続きが必要になる。登録・許可の取得や各種規則への対応とともに、通関手続き上の事務負担が新たに発生する。また、EUと陸続きで国境を接する北アイルランドとその他の英国(イングランド、スコットランド、ウェールズ)の間で物品を取引する際には、英国内にもかかわらず税関手続きや動植物検疫が必要になるケースが出てくる。

EU側は21年1月1日から、…

日刊工業新聞電子版で続きを読む
(電子版への会員登録・ログインが必要です)

ページトップ