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コラム

【連載】グローバルの眼/ペルー、コロナで経済打撃深刻

【2020年7月29日付 国際面 日刊工業新聞電子版

完全回復は数年先か

近年、中南米有数の経済成長国とされてきたペルーが新型コロナウイルスの大きな打撃を受けており、元の経済水準に戻るには数年かかると懸念する声も出ている。

ペルーでは7月26日現在、新型コロナの感染者が38万4700人となり、累計感染者数は中南米ではブラジル、メキシコに次いで3番目、世界で7番目に多い。同国で初めて感染者が確認されたのが3月6日、それから約1週間後には国家緊急事態宣言が発令された。これに伴い14歳以下の青少年や65歳以上の成人の強制的な社会隔離、外出禁止、各種商業施設の閉鎖、人道的理由以外での交通および人的移動の停止、国境の閉鎖といった厳しい措置が実施された。事実上のロックダウン(都市閉鎖)である。これは中南米では最も早く実施されたと評価される。それにもかかわらず、感染者が増えたのはなぜか。衛生状態や検査体制、医療施設などの面で先進国と比べ、十分でないことを指摘する識者も多い。だが、ペルー保健省担当官は「多くの市民が政府のコロナ対策を守らなかったことが感染拡大の最大要因」と説明する。ロックダウンに伴う強制措置はその後段階的に緩和され、外出禁止措置が少しずつに緩められる中、感染拡大は止まらない状況だ。リマの有力私立病院の医師は「このままだと、現在の死者数約1万3000人がさらに急増する可能性が高い」と警告する。

ペルー政府は経済活動も徐々に再開しているが、…

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