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埼玉県、農業大学校跡地にIHI誘致 航空宇宙産業振興に弾み

【2018年07月26日付 中小企業・地域経済面 日刊工業新聞電子版

圏央鶴ケ島ICそばにある埼玉県農大跡地

【さいたま】埼玉県は25日、鶴ケ島市内にある県農業大学校跡地の北側産業用地の分譲で、優先交渉事業者にIHIを選定したと発表した。分譲するのは首都圏中央連絡自動車道(圏央道)圏央鶴ケ島インターチェンジ(IC)至近の約13万6100平方メートルで、IHIは民間航空機エンジン事業の拠点を建設、人工知能(AI)などを活用するスマートファクトリーとする計画。今後両者で交渉を進め、10月の県議会での議決後、土地売買契約を締結する見通しだ。

埼玉県は県内航空機関連受注総額を将来、数百億円規模に高めたい考えで、航空・宇宙分野の振興を県の先端産業振興プロジェクトの一つに位置付けている。IHI進出で取り組みを加速し、中小企業の新規参入や複数企業が得意領域を分担しあう一貫受注体制の確立につなげる意向だ。

県は周辺13市町と、地域未来投資促進法に基づく「埼玉県鶴ケ島ジャンクション周辺地域基本計画」を策定。AIやIoT(モノのインターネット)を活用した「オープンイノベーションによる超スマート社会の実現と経済の好循環」を掲げており、IHIの動きが注目される。県は今回の最低分譲価格を約71億円と見込んでいる。

埼玉県の発表を受けてIHIは「当社の民間航空エンジン整備拠点である瑞穂工場(東京都瑞穂町)と近隣であり、高速道路の利便性に優れていることから、主力事業である航空エンジン事業のさらなる発展に寄与し、地域経済の活性化につながるものと考えている」とコメントした。

地域企業は歓迎「中小にも商機」

IHIの進出について、航空機エンジン部品の難削材加工などが得意のウラノ(埼玉県上里町)の小林正伸社長は「地域の航空機関連企業の活性化につながる」と歓迎する。同社は長崎県にも拠点を持ち、米ボーイングの大型旅客機「777X」の部品などを製造している。IHIが拡充を図るエンジン修理・整備事業は「当社を含む中小企業に大きなチャンス」(小林社長)とみる。受注拡大をにらみ、年内稼働を目指し群馬県伊勢崎市に新本社工場を建設中だ。

航空機エンジンなどの精密加工を手がける金子製作所(さいたま市岩槻区)は、すでにIHIと取引関係にある。物流面を考えてIHIの相馬工場(福島県相馬市)近くに、いわき工場(同いわき市)を建てた経緯がある。金子晴房社長は「当社にとって(埼玉進出)は非常にありがたい」と喜ぶ。埼玉県内への影響について「県が“地元”になるのでその意味合いは大きい。さまざまな交流ができれば」と話している。

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