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コラム

【連載】グローバルの眼/トランプ大統領の強硬姿勢

【2019年7月12日付 国際面 日刊工業新聞電子版

米経済の不確実性高める

2009年6月から始まった米国の景気拡大は19年7月で121カ月目を迎え、記録のある1850年代以降では過去最長になるが、成長速度は年率2・3%と過去に比べて緩慢な拡大にとどまっている。市場の次の関心は、この拡大がいつまで続くか、何が引き金で景気後退に陥るかであろう。だが、トランプ大統領の政策運営が予想を難しくしている。

16年の大統領選挙中から、トランプ大統領は型破り、前例無視の行動・言動が多かったが、就任後もその姿勢は一貫している。自らが任命した閣僚を批判した上で解任したり、メキシコ国境沿いの壁建設を実現するために過去最長の政府機関閉鎖にも動じず、最後は、非常事態を宣言して建設費用を確保した。

対外的には、18年3月以降、保護主義的な通商政策を掲げ、米国が貿易赤字を計上した相手国に譲歩を迫る、強硬な交渉姿勢で臨んでいる。貿易赤字の約半分を占める中国に対しては、既に輸入の半分相当に追加関税を課している。幸い、6月末の米中首脳会談によって、残り半分を対象にした第4弾の追加関税は見送られ、株式市場は交渉再開を好感した。ただ、トランプ大統領は基本的なスタンスを変えておらず、交渉の行方次第では躊躇(ちゅうちょ)せず第4弾を実施する可能性に十分留意すべきだろう。

一方、国内的には、…

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