Powered by 日刊工業新聞

コラム

【連載】グローバルの眼/スタートアップ急成長への課題

【2019年8月1日付 国際面 日刊工業新聞電子版

グローバルチーム必須

Startup Grind Tokyoでシリコンバレーから来日したスタートアップ支援者のM・メッシーナ氏と対談する筆者(左)(19年2月)

シリコンバレー発のサービスは、今や世界中に広がりを見せている。フェイスブックのメッセンジャーで仕事のやりとりをし、投稿でミーティングやスタートアップイベントへ参加した様子などをシェアする。GメールやLinkedinで連絡をとる。アマゾンで買い物や読書、映画鑑賞をする。ウーバーに乗り、グーグルMapで目的地に向かい、Airbnbで宿泊する人も多いだろう。

しかし、広がりを見せているのはサービスだけではない。シリコンバレーのイノベーションエコシステムのモデルを世界各地につくる動きが活発化してきている。エコシステム構築に必要となるのはまず、インキュベーションセンターやコーワーキングスペースなどの場所づくりだ。次に、スタートアップイベントやアクセラレータープログラム(短期教育)の提供によってイノベーティブなカルチャーづくりが行われる。

シリコンバレーの老舗インキュベーションセンターであるPlug and Playが渋谷にもでき「Startup Grind Tokyo」という起業家イベントが毎月開催され、筆者も在京時に登壇している。このイベントも元々はシリコンバレーから始まり、現在、世界120カ国、250都市、100万人をつなぐコミュニティーに育っている。シリコンバレーで行われた2日間のイベントには8000人を超える人が訪れ、Linkedinの創業者のリード・ホフマン氏、『イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』(玉田俊平太監修、伊豆原弓訳、翔泳社刊)によって破壊的イノベーション理論の確立で知られるハーバードビジネススクールのクレイ・クリステンセン教授ら世界的に著名なゲストスピーカーが登壇し、大盛況であった。

筆者も大規模なイベントから小規模な招待制イベント、そして毎日のように行われるミートアップイベントと称した勉強会兼ネットワーキングに世界各地で参加した。この6年間、日本と行き来してきたシリコンバレーだけでなく、昨年にはイスラエル、フランス、フィンランド、エストニア、ルクセンブルク、中国、マレーシアなどにも行った。欧州最大のイノベーションイベントである「Viva Technology」には昨年、今年と参加した。

どこも、各国の独自性を持たせようとする努力は見られたが、登壇者はシリコンバレーのベンチャー・キャピタルや同地で教育を受けた人が多く、内容も同地を参考にしたユニコーンを生むカルチャーづくりやビジネスプランの練り方が多いことに驚かされた。

イノベーションプロバイダー 森若幸次郎

一方で、グローバルチームの構築に成功している国は少ない印象を受けた。今後は、スタートアップの急成長に必要な場所(インキュベーションセンター、コーワーキングスペース)と教育(アクセラレーター)だけでなく、英語や多言語でビジネスの協業を進めるグローバルチームづくりが日本や世界の課題となるだろう。

◇イノベーションプロバイダー 森若幸次郎

ページトップ