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特集

【アジア進出ガイド】競争力高めて現地に根付く企業へ

【2019年2月25日付 日刊工業新聞 14面 広告特集】

国内で少子高齢化やそれに伴う人手不足が問題となる中、アジア各国の人口は高い伸び率を示し、巨大な消費市場、人材市場として期待される。製造業を中心に海外生産が拡大しており、進出企業が活用できる工業団地やレンタル工場、物流施設などの開発も進む。アジア市場でのビジネス展開は現地に合わせ、国内とは異なるアプローチが必要だ。国内企業の投資動向や現地で展開される物流サービス、進出企業の事例を紹介する。

アジアへの投資堅調

インド・ベトナムも拡大

日本の対外直接投資(国別)

日本のアジア地域への投資が堅調だ。財務省が8日発表した国際収支統計によると、18年の東南アジア諸国連合(ASEAN)の主要4カ国(タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン)への日本からの投資額は前年比15%増の1兆2956億円となった。横ばい・微減となった国も多い一方、ASEANではタイやシンガポールが大きくけん引したほか、南アジアでもインドへの投資が好調だ。

18年の日本からタイへの投資額は前年比2061億円増の7363億円。業種別では電気自動車関連などの輸送機器での投資が支えた。シンガポールでも同9011億円増の1兆9854億円となり、大規模な投資引き上げのあった16年以前を上回る勢いを示している。

18年は投資額として微減となったが、特に近年進出が多いのはベトナムだ。中国進出企業が拠点を増やす「チャイナプラスワン」のトレンドで、ベトナムへの進出の動きが続いている。日本貿易振興機構(ジェトロ)の世界貿易投資報告によれば、18年6月時点でハノイ、ダナン、ホーチミンの日本人商工会議所を合算したベトナムの所属会員数は1797社で、前年比114社増。日系企業の集積がすでに進んでいるバンコクの商工会議所の会員数を初めて上回った。

18年11月に実施されたジェトロの「アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」でも、ベトナムに進出した企業は営業利益が高い結果が出ている。18年は前年より営業利益が「改善する」とした割合はベトナムで52・4%となり、ASEAN全体の46・4%を6ポイント上回ってASEANの中で最大となった。

南アジアも事業拡大意欲が高まっている。インドでは自動車産業の集積があるほか、最近ではスタートアップの活発な南部のベンガルールが注目を集めている。ジェトロの同調査で、前年比で利益が「改善する」としたインド進出日系企業の割合は53・5%と、アジア進出企業の中で最大。今後1―2年で事業を拡大すると回答した割合もインドは72・8%となり、隣国バングラデシュに次いでアジア中2位となっている。現地市場の売り上げ増加や市場の潜在力への期待がおもな理由だ。

実際インドへの日本からの18年の直接投資額は、前年比2358億円増で、約3倍。国際通貨基金(IMF)の試算ではインド、バングラデシュともに今後7%を超える成長率が見込まれており、合わせておよそ15億にも上る人口の、世界有数の巨大市場が有望視された格好だ。

物流も異文化対応進む

アジア諸国での貨物量の増加や国内企業の事業拡大に伴い、物流事業者は海外物流拠点を展開している。ASEAN諸国では所得水準が向上し、消費財の需要が高まっている。それに伴い、食品などに用いる温度管理物流の必要性が増し、現地での導入が進んでいる。

三菱倉庫は17年10月に食品や医薬品、化粧品向けの配送センターをインドネシアのMM2100工業団地内で開業した。延べ床面積1万8000平方メートルのうち、定温庫(15―25度C)を6500平方メートル、冷蔵庫(2―8度C)を1000平方メートル、冷凍庫(マイナス18度C)を400平方メートル備え、温度管理物流に対応する。ジャカルタ中心部から約24キロメートルと近く、周辺のタンジュン・プリオク港やスカルノ・ハッタ国際空港なども活用できる。

インドネシアは人口の9割以上がイスラム教徒だ。食品などの保管、輸送段階ではイスラム教徒が口にできるハラール品と、禁忌とされる豚肉、アルコールなどを含むノンハラール品を分けて扱う配慮が不可欠だ。19年にはインドネシアに輸入、流通する食品、化粧品、医薬品などにハラール認証を義務付ける法律の施行が予定されている。同配送センターは18年6月にウラマー評議会食料・薬品・化粧品研究所のハラール認証を取得した。他にも日本通運や郵船ロジスティクス、三井倉庫などがASEAN域内の拠点でハラール認証を取得している。日本と異なる文化に対応し、安心して利用できる物流サービスを提供する。

進出後の展開見据えて

扶桑鋼管の海外拠点では日本国内で研修を重ねた現地スタッフが活躍する(タイ拠点)

ASEANのタイとインドネシアに拠点を持つ扶桑鋼管(千葉県浦安市)は建設機械や産業機械、農業機械など向けに機械構造用鋼管の卸売りと各種加工を手がける。顧客がアジアへと進出していく中、現地で鋼管切断をジャストインタイムで対応してほしいとの要望があり、進出のきっかけとなった。

江村伸一社長は「海外進出は総合的に考えて判断すること。顧客に依存せず、現地に会社を根付かせる覚悟を持って準備をするべきだ」と話す。顧客の要望に従うだけではなく、進出後の展開を見据えて現地の需要を先読みし、まず国内事業の拡大と体制づくりを試みた。北陸加工センター(石川県小松市)を設置し、鋼管加工を内製化してワンストップ体制を実現した上で、アジア拠点の設立に取り組んだ。北陸加工センターでの加工を充実させ、海外拠点にも反映することで顧客のニーズに応えた。

海外進出に際し現地で通用する競争力を身につけたことで、顧客から見た同社の立ち位置も変化した。元は鋼管を切断して売るティア3の立場だったが、加工機能を強化したことで、加工品をメーカーに直接納入するティア1として海外で取り引きできるようになった。「海外で当社を知り、親しくなった企業は日本でもティア1として扱ってくれる。海外進出を機に顧客との距離が縮まったことが大きなメリットだ」(江村社長)と話す。ティア3ではわからなかったエンドユーザーのニーズを把握し、最適化した取り引きを実現している。

現地従業員の人材育成は外国人技能実習制度を活用し、北陸加工センターで行っている。最初は鋼管のハンドリング、切断、加工などを3年間教えた上で現地で採用する。その後も定期的に日本での研修を繰り返し、生産管理など次の段階の知識も教える。「モノづくりは朝のあいさつから始まり、約束を守る、責任を果たすといった考え方にもリンクしている。日本の文化のいいところを伝え、地域に貢献していきたい」(同)と技術以外の教育にも力を入れる。

ASEAN諸国やインドなど人口の多い地域ではこれからも市場の発展が見込まれる。農業機械や自動車など参入の余地がある産業も多く、日本ではできなかった事業ができる可能性が高い。「当社は進出が遅いと感じていたが、進出してみてそんなことはなかったと思えた。今からでは遅いと感じている人もいるかもしれないが、現地の状況が変化していく中でこれから活躍できる分野はあると思う」(同)とエールを送る。

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