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コラム

【連載】グローバルの眼/ドイツを襲う景気減速の逆風

【2019年11月22日付 国際面 日刊工業新聞電子版

雇用・所得環境に変調も

ドイツに不況の影が差している。2008―09年の世界的な金融危機をいち早く乗り越えた同国は、ユーロ圏各国が不況に喘(あえ)いだ欧州債務危機時も順調な景気拡大を続け、東西ドイツ統一後で最良の雇用情勢を謳歌(おうか)してきた。だが、ここにきて、米中貿易摩擦の激化と主要輸出先である中国景気減速の余波、環境規制強化や次世代技術対応に追われる自動車産業の苦境、大手銀行の経営不振や低金利による銀行収益圧迫など、数々の逆風に見舞われている。

昨年前半に始まった景気減速は、今年に入って一段とブレーキが掛かっている。4―6月期にマイナス成長になった後、7―9月期もゼロ近傍の成長にとどまった。各種の企業景況感指数は、製造業や外需関連部門を中心に、過去の景気後退局面に匹敵する水準に落ち込んでいる。どうにか本格的な後退局面入りを免れているのは、不況時の人員削減を抑制する時短制度の活用や、過去の好景気の余韻から賃金が高止まりするなど、サービス業や内需部門の踏ん張りによるところが大きい。

かつて「欧州の病人」と呼ばれたドイツは、…

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