「外国人ではなくシンガポール人を採用して下さい」。人材を求める企業が何日もかけて何人も面接し、やっと採用が決まったマレーシア人の候補者に申請していた就労ビザが、労働局の担当者の冷たい一言とともに却下される。
シンガポールは、自他共に認めるほどアジアの中心的存在として栄えた。ヒト・モノ・カネの全てがこの国に多く集まり、一大経済国家を生んだ。外国人就労者が労働力の3分の1を占める。
だが、ここ数年、外国人就労者に対する労働ビザの厳格化はますます強くなる一方で、ビザ取得基準の最低給与額は年々上がり続けている。
数年前は、月2000ドルの給与が基準だったのが、今では4000ドルとおよそ2倍に高騰した。
しかし、シンガポール在留の経営者の苦しみはそこではない。大きな悩みの種は…