「君が転職をしないのは、能力がないからだろう?」―。以前、シンガポール人の知人が永年勤続賞を受賞した日本人社員に言った衝撃の一言である。しかし、この発言に悪気はない。
日本以外のアジア各国で転職を繰り返すことは極めて一般的だ。シンガポールも例外ではなく、卒業後に入社した会社に忠誠を誓い長く会社に貢献するといった日本の美徳概念はない。給与向上やキャリア構築のために転職を繰り返すことは習慣化し、文化として根付いているからだ。
シンガポールの人材について語る際、切り離せない言葉が「実力主義」「負けず嫌い」。これに「向上心」「勉強熱心」の要素が加わる。シンガポールでは大学進学率が32%と東南アジアの中では比較的高く、多くの人たちが働きながら進学をしている。
毎日必ず定時に帰る彼らは決して仕事をおろそかに…