アジア新興国で、現地の日系企業が人材の採用や育成など人と組織に関するさまざまな問題を抱えていることは、これまでの連載で述べてきた通りだ。だが昨今ではその課題が、採用や育成から人事制度の設計・運用、人材の活用や処遇をどうすべきか、という点に変化してきている。海外でのビジネスがより現地に根ざすにつれて、組織運営や意思決定に対する現地人材の関与が重要になり、現地の中核人材に求められる要件も変わっていく。
現地の事業が日本本社主導で行われる段階では、現地人材の中間管理職には日本本社や日本人駐在員からのトップダウンの指示を「正確に伝達する」役割が期待されるため、「日本語力」「その会社に長く勤務していること」が重要視される。
一方、現地向けの製品の企画・開発や現地企業との取引拡大など事業の現地化が進むと、現地の中核人材に組織運営や意思決定の権限を委譲していく必要がある。そこで求められるのは、…