サウジアラビア政府が2016年4月に発表した有名な長期経済改革計画「ビジョン2030」の要点は、これまでの石油依存型経済から脱却し、活気ある社会と経済により生まれる収益を国家財政運営の礎とするものである。
この野心的な取り組みに対しては、正直なところ冷ややかな見方も少なくない。中東をはじめとする新興国にありがちな、ばら色だが実現性に乏しい計画といった声も多い。現国王の息子であるムハンマド皇太子(当時は副皇太子)に実績を持たせるだけの道具との指摘もある。
計画の原案を米コンサルティング会社のマッキンゼーが作っていたことも、表面的な目標の羅列との印象を与える。
筆者自身もどちらかと言えば当初はそうした見方だった。しかし、…