政治圧力屈せず政策運営を
2019年夏、欧米の中央銀行は大きな政策変更を迫られた。量的緩和の出口戦略を着実に実践してきた米連邦準備制度理事会(FRB)は、7月末の連邦公開市場委員会(FOMC)で10年7カ月ぶりの利下げに転じ、同時に、バランスシート縮小停止の日程を2カ月前倒しした。さらに、9月の会合では2回連続での金利引き下げとなった。
矢継ぎ早の金融緩和に対して、パウエル議長をはじめFRBの基本的なスタンスは、米国経済の下振れリスクや低インフレに対応するための保険的利下げであり、景気後退を前提とした本格的な利下げサイクルの開始を否定するものだ。
今後も内需主導の緩やかな景気拡大のパスを描く限り、…