■中国、基礎研究に注力
2020年12月中旬に北京で中央経済工作会議が開催され、21年の経済運営の方向性と骨子に関して八つのタスクが示された。最重要課題として初めて挙げられたのが科学技術イノベーションの強化である。その背景には言うまでもなく、米国との関係改善の見通しが立たない中で、コア技術・部品の国産化を急ぎたいという中国政府の思惑がある。
ただ、それだけではない。「世界の工場」として高度経済成長を遂げた中国は近年、イノベーションによる経済発展へ大きく舵(かじ)を切ろうとしている。「第13次5カ年計画(16―20年)」では、「創新(イノベーション)、協調、緑色(エコロジー)、開放、共享(シェア)」を目指す方針を打ち出したが、その筆頭にイノベーションを掲げ、規制緩和や民間の活力の喚起などイノベーションを引き出すためにさまざまなアクションに取り組んできた。
また、研究開発費の増加を推進してきた結果、…