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コラム

【連載】グローバルの眼/パキスタンの“一帯一路”

【2019年8月23日付 国際面 日刊工業新聞電子版

開発代償は重い返済負担

国際通貨基金(IMF)は5月中旬、パキスタンに対する60億ドル(1ドル=106円換算で約6360億円)の拡大信用供与(EFF)を3年余にわたって実施することを発表した。同国は政府債務がGDP(国内総生産)比7割超と危険水域にあり、対外債務も今年3月現在で1058億ドル(パキスタン国立銀行)に達している。債務不履行の危機さえ囁(ささや)かれていたが、これで一息ついた格好だ。IMFのパキスタン支援は今回で13回目。IMFは構造改革と同時に、財政悪化の元凶とされる中国・パキスタン経済回廊(CPEC)計画の修正にも踏み込む可能性が高い。対外債務の3―4割は中国からの融資によるものと推測されるからだ。

CPECは、中国の“一帯一路”構想の重要案件の一つ。中国の新疆ウイグル自治区カシュガルからパキスタン南端グアダル港までの3000キロメートル(西部・東部など複数ルートに分岐)に及ぶ経済大動脈建設プロジェクトだ。道路・鉄道などの交通網、石油・ガスパイプライン、発電所、光ファイバーなどを建設・整備し、2030年完成を目標としている。

総事業費は…

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