アルゼンチンでは懸念の声も
中国は今や、地球の向こう側南米でも露骨な援助外交を展開している。ブラジルと並ぶ南米の大国アルゼンチンでさえ、中国の経済力には逆らえないようだ。
このことを如実に示すのが、アルゼンチン南部パタゴニア地方で昨年春から稼働した中国の「宇宙探査研究センター」の存在だ。この施設は同地方ネウケン市郊外の砂漠地帯にあり、200ヘクタールの広大な敷地内には巨大なアンテナが設置されている。中国当局は「有人月面着陸や火星探査の目的に使用され、宇宙の平和利用のため」と説明、軍事とは関係がないと強調する。
だが、この中国の言い分を額面通り受け取る向きは少ない。例えば、米国の軍事専門家の多くが同センターについて「ほかの国の衛星通信を傍受したり、衛星の動きを妨害する軍事利用が目的」(米国防総省筋)と指摘する。中国の「宇宙基地」と呼ばれるゆえんである。
この「宇宙基地」をめぐり、アルゼンチン国内では以前から懸念が広がっていた。特に、…