「民族の多様性」理解
2003年の春、サンパウロ駐在の辞令がでた。ブラジル出張は10数回経験していたが、中南米最大の国であること、言葉がポルトガル語であることなどの理由でやや不安な面もあった。しかし、それは杞憂(きゆう)に終わり、不思議なほどスムーズに現地に溶け込むことができた。
その理由を考えてみると、1990年代半ばのミラノ駐在にたどり着いた。サンパウロ州と南部3州にはイタリアやドイツからの移民が多い。とりわけイタリア移民は最大で3000万―4000万人のコロニアを形成している。住民のライフスタイル、デザイン感覚などはイタリア人のそれとそっくりに感じた。アルゼンチンやウルグアイはブラジルよりさらにイタリア色が濃厚だ。
筆者は、過去のメキシコ、チリ、ブラジルでの駐在経験から…