Powered by 日刊工業新聞

特集

【連載】沖縄でつくる 製造業の選択(4)ナノシステムソリューションズ 半導体装置、台湾大手と直取引

【2018年7月12日付 中小企業・地域経済面 日刊工業新聞電子版

本社工場(沖縄県うるま市)で製造するウエハー分析装置

2年分の受注残

ナノシステムソリューションズは、半導体製造設備であるマスクレス露光装置やウエハー検査装置のメーカー。国内外のデバイス、ウエハーメーカーに向け、光学的な加工・分析技術を核に製品を展開している。

沖縄の本社工場は現在、新製品発売の効果もありフル稼働。2年分ほどの受注残を抱える。2014年の進出当初に2億―3億円だった売上高は、10億円台後半での安定が視野に入る。「沖縄で足腰をつくることができた」と赤星治副社長は評価する。

好調要因の一つが台湾への展開。台湾を代表する大手デバイスメーカーに口座を開き、直取引している。上場企業が前提の取引条件も、沖縄振興開発金融公庫からの資本性ローンなどで信用性を高めて勝ち取った。沖縄に来てからの成果だ。

那覇空港を中心とした深夜の国際貨物便を使えば、夜間に積載した製品や部品が現地へ翌朝に届けられる。移動距離と時間の短さは輸送の振動を嫌う精密機器に都合が良い。

安定気温が寄与

工場周辺の交通、電力インフラは充実を待つ部分もある。だが、人材募集における“勤務地・沖縄”は県外から目を引き、「求人面でも沖縄ブランドは強い」と実感する。

温度勾配に対応するノウハウも得た。工場内のクラス100、1000のクリーンルームは室温23度Cに維持するが、東京に比べてエネルギー費を30―40%低減できた。沖縄の年間平均気温が設定温度と近いためだ。

開発でも温度が寄与した。重要部品であるレンズの反射防止膜が温度差でわずかに伸縮し、精度に関与することが判明。「気温が安定した沖縄に拠点を置いたからこそ、目を向けられた」と、赤星副社長は沖縄でのモノづくりに自信を深めている。

【企業概要】

■企業名=ナノシステムソリューションズ ■本社=沖縄県うるま市 ■代表者=芳賀一実社長 ■製造品=半導体製造・分析装置

 

【連載】沖縄でつくる 製造業の選択

沖縄県の経済特区への企業誘致が好調だ。県中部の「国際物流拠点産業集積地域うるま・沖縄地区」の立地企業数は2018年3月末で67社となり、前年から9社増え過去最高の企業数を記録した。立地の形態にも変化が見られる。これまでは賃貸工場への入居がメーンだったが、分譲地への進出も多くなっており、分譲地不足の懸念すら出始めた。

沖縄は製造業の“不毛の地”という不名誉な呼ばれ方もあった。事実、県内総生産に占める製造業の割合は低下傾向で、この10年間はおおむね4%台で推移する。好調な観光がけん引し、伸びを見せる建設業やサービス業とは対照的だ。だが、沖縄でモノづくりをする企業は確実にいる。なぜ「沖縄でつくる」のか。立地企業から答えを探る。

ページトップ