想定の域を超えた台風19号は各地に暴風と大雨をもたらした。河川の氾濫や浸水などで多くの人命が失われ、「命を守る行動」の難しさを思い知らされた。今後の企業活動に与える影響も計り知れない。特に関東甲信越、東北地域の中小企業は大きな打撃を受け、被害状況の把握にも時間がかかる。台風は過ぎ去ったが、地域経済を停滞させる逆風がしばらく日本各地にとどまりそうだ。
長野 カイシン工業「お客さんが待つ…やるしかない」
「(千曲川決壊の被害を受けた)工場を見てほしい」。台風19号が日本列島から離れつつある14日、水が引きかけた北部工業団地(長野市)で泥だらけの作業着で復旧の陣頭指揮を執る男性がいた。決壊した穂保地区の堤防から2キロメートルの距離にあり、甚大な冠水被害を受けたが、そこには一日も早く再稼働しようと踏ん張る中小製造業の姿があった。
男性は工作機械や産業機器を製造する装置の精密板金部品をつくる…