移行期間中の合意不安視
1月末に欧州連合(EU)を離脱した英国は、年末までの移行期間中にEUと貿易協定の締結を目指しているが、産業補助金や漁業割り当てをめぐる協議が難航しており、合意の行方が不安視されている。議会承認に必要な時間に鑑み、EU側は10月15日の欧州首脳会議を合意期限に設定する。英国側も首脳会議までに合意できなければ、貿易協定なしで移行期間を終了する準備作業に切り替えることを示唆している。このまま移行期間中に貿易協定を締結できない場合、来年以降、英EU間の貿易は世界貿易機関(WTO)が定める最低限のルールに基づいて行われる。双方の貿易取引に関税が発生し、国境を越えたサービス取引や、個人情報などのデータ移転にも制限がかかる可能性がある。
現在、英国が離脱に際してEUと交わした離脱協定の一部を書き換える法律を議会で審議していることが、事態を一段と難しくする。離脱後の英国がEUと唯一陸続きで接するのが、北アイルランド(英国の一部)とアイルランド(EU加盟国)の約500キロメートルの国境線だ。
かつて北アイルランドでは…