TSMC始動、半導体再興に熱
「シリコンアイランド九州」の再興に向けて中核となる台湾積体電路製造(TSMC)が熊本工場(熊本県菊陽町)の開所式を終え、本格稼働に向けて動き出した。巨大工場が呼び水となり、熊本近隣では半導体のサプライチェーン(供給網)を支えるための関連投資が相次ぎ、自治体による工業団地の整備も活発化してきた。一方で進出を目指す中小企業やベンチャー(VB)にとっても試金石となりそうだ。
熊本県山鹿市はTSMCがある菊陽町までつながる道路沿いの農地、10ヘクタール程度を整え、新たな工業団地を造成する。2005年1月の合併で現在の市制施行となった山鹿市。同市自らが用地取得と造成する形式での工業団地整備は旧山鹿町の山鹿地域に限れば約40年ぶりで、28年度に造成を完了し、29年度からの分譲開始を目指す。
同市内の団地6カ所はすでに埋まっている。新たな団地はTSMC工場まで車で約45分、九州自動車道菊水インターチェンジ(IC)、同植木ICまでともに約15分の場所に設ける計画。商工観光部企業誘致課の三森一幸課長は「誘致業種の絞り込みはまだだが、製造業や物流業など半導体関連は有力になるだろう」と見通す。
早田順一山鹿市長が「私が先頭に立ち、市の組織を挙げて取り組む。人口減少のスピードを少しでも緩やかにする取り組みの大きな柱と位置付けている」とコメントするように県北部にあり県庁所在地の熊本市まで約30キロメートルだが、…