雇用情勢・基金が後押し
若年層の高失業、加盟国間の経済格差、産業ダイナミズムの欠如などの構造的な課題を抱える欧州経済は、過去の景気後退局面では回復の足取りの鈍さが目立った。2008―09年の世界金融危機時も米国の実質国内総生産(GDP)が11年前半には危機前の水準を回復したのに対し、ユーロ圏が危機前の水準を回復したのは、直後に欧州債務危機の激震に見舞われたこともあり、14年の終わりだった。
だが、以下の三つの理由から、今回のコロナ危機では米国に比べて欧州の景気回復が先行する可能性がある。
第一が感染者の動向だ。米国では4月にニューヨーク州を襲った感染の猛威が収まった後、…
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